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2022.12.13 16:08

タイでの留学生活におけるご報告

タイでの留学生活

野上 颯   (海洋電子機械工学科3年)

 私は海洋大の交換留学制度を利用して今年の8月からタイ王国 バンコクにあるカサセート大学の工学部 機械工学科に留学中です。言語、文化、天候、町の雰囲気、お酒に関する法律、…あらゆる面で日本と異なるタイでの生活では毎日が驚きの連続です。タイで生活する中で驚いたことを挙げればきりがないですが、私が特に驚いた初めてカサセート大学で講義を受講した日のエピソードを紹介します。

時間にルーズなタイ人

カサセート大学のバスの路線図

 私の通うカセサート大学バンケンキャンパスは敷地の面積が136ヘクタールととても広く、学生がキャンパス内を移動するためのスクールバスが5路線もあります。

 キャンパスがとても広いのにもかかわらず、大学から事前に配布された資料には5ケタの部屋番号しか記載されていなかったため、Googleマップと付近を歩いていたほかの学生の力を借り、今では15分程度で到着できる教室に1時間弱かけて何とかたどり着きました。それでも、私はだいぶ早く家を出ていたので、授業が始まる時間より30分早く着くことができました。

 他にクラスメイトも来ておらず特にすることもなかったので、一度教室を出て売店でタイイティー(スパイスの効いたタイのミルクティー)を買い、今日のお昼ご飯は何にしようかとインターネットでタイ料理をあれこれ検索しながら教授とクラスメイトの到着を待ちました。
 しかし、授業時間になってもだれも来ないので不安になり、再度自分が待機している教室が正しいのか確認してみましたが、教室のドアには資料に記載されている部屋番号と同じものが書かれていました。もしかすると自分が当てにしている資料に書かれた部屋番号は誤植なのではないか、直前に教室が変更されたのではないかとあれこれ思案しましたが、自分ではどうすることもできないのでもう少し待つことにしました。

 10分ほど待っていると、一人のタイ人の学生が教室に入ってきて席に着いたので、話を聞いてみたところ、教室が間違っていないことが判明したので、ほっと一安心しました。その後、学生がちらほら来た後、本来の授業開始時間から20分が経過したところで教授が到着し、結局授業は30分遅れて始まりました。
 授業が始まったときは教室の大きさに比べ学生の数が少し少ないように感じましたが、やはり全員がそろっているわけではなかったようで、数分おきにスタバのドリンクを片手に生徒が教室に入ってきて、最終的にはほぼ満席になりました。

全員電子ノート派

 その日は全員が開始時間にかなりルーズなこと以外にもう一つ驚いたことがありました。それはタイ人の学生が全員タブレット端末の電子ノートに板書を取っていたことです。日本の大学生でもタブレットで板書を取る学生はいますが、いてもクラスに数人ほどなので、タイの学生はハイテクだなと感じました。
 私はタイにipadを持ってきていたので、いい機会だと思い電子ノートにチャレンジしてみましたが、うまく文字が書けず断念したので、今でもクラスで一人だけ紙のルーズリーフに板書を取っています。

あっという間の3か月

 実は、私はもともとタイではなく中国の上海に留学をしようと考えていました。しかし、中国政府の対新型コロナ政策により上海がロックダウンしてしまったため、留学先を変更しないといけなくなりました。
 そこで、何か国かの交換留学協定校に留学ができるか問い合わせをしてみたのですが、どこの国の大学からも今年度の留学生の受け入れは中止したという旨の返信が返って来ました。今年中の留学は諦めようかとも思っていたところ、海洋大事務留学生係の方からタイならなんとか留学することができそうだと教えていただいたので、この際仕方がないと思いタイへ留学することに決めました。

タイのコンビニの酒類コーナー

 そんな経緯でタイへ来ることになったので、タイに行く前は多少不安もありましたが、実際に来てみるとタイは治安がよく物価も安いのでとても暮らしやすく、住めば都とはこういうことかと思いました。
 そのため、マイペースでのんびりしたタイ人に囲まれて生活しているにもかかわらず、時間がどんどん過ぎていきタイに入国してからあっという間に3か月が過ぎてしまいました。
 私は半年間滞在する予定なので、現在が折り返し地点です。ここらで気合を入れなおさないと、後半の3か月もあっという間に過ぎ去ってしまうような気がするので、今後は色々なことに臆せずチャレンジをして、より密度の濃い留学生活を送れたらなと思います。

 

オケアヌスプラスサマープログラムへの同行

梶原 彩夏(海洋政策文化学科4年)

 私は、現在野上くんと一緒にタイのカセサート大学に交換留学で来ています。偶然にも私の留学期間中に、海洋大の数名が、オケアヌスプラスプログラムの一環で来泰するということで、その内の2日間、先生方のご厚意で同行させていただきました。今回は、その貴重な体験について共有させていただきます。

 まず、オケアヌスプラスプログラムとは、平成28年度より日中韓の海洋系三大学で連携し培ってきた単位互換制度等の教育交流を、タイやマレーシア、インドネシア等ASEAN諸国を迎えて、拡大・発展させたプログラムのことを指します。今回は、そのプログラムのオンラインサマースクールにおいて、提携大学の教員の授業を受けた5名の海洋大生が、フィールドトリップとして、9月18日から23日までの6日間タイに来ていました。私は、その内の2日間、カセサート大学、及び、タイ水産庁・東南アジア漁業開発センター(以下、SEAFDEC)の訪問に同行させていただきました。

 1日目のカセサート大学の訪問では、理学部の研究室と水産学部に伺いました。私は理学部に所属しているのですが、研究等と講義等は違うため、どちらの訪問もとても新鮮でした。特に水産学部では、学生等がすり身の新商品の開発を行っている様子を見学することができ、興味深かったです。水産物の利用と消費の促進が、タイでも求められているのだろうかと少し考えるきっかけになりました。また、水産学部では3名の院生の方々と交流することもできました。彼らは、10月の半ばに海洋大を訪れるということで、私が直接おもてなしをすることができないのが残念ですが、日本を十分に楽しんでもらえたら良いなと思います。

 2日目の水産庁とSEAFDECの訪問では、様々な方にお会いし、お話を伺うことができました。どの方々も素敵だったのですが、今回は2名ご紹介させていただきたいと思います。まず一人目は、SEAFDECにインターンに来ていた日本の女子大生の方です。彼女は、2年生の春休みに大学を休学し、今年の3月頃からタイで働いているということでした。私にとって海外は、旅行か留学かでしか考えられていなかったため、インターンとして実際に来て、働いている姿を拝見し、衝撃を受けました。タイに来て一番大きなショックだったかもしれません。しかし、自分の中の偏見を壊すことができたため、得難い出会いだったと思います。また、二人目は、日本で養殖プラットフォームを経営されている方です。その方と養殖場運営についてお話させていただく中で、
 ・養殖に関わりたいと思っている人は大勢いるが、やり方がわからない人も多い。
 ・今まで漁業、養殖をしてきた人々を取り残さない方法が必要だと思う。
この2点が特に印象的でした。私は、日本の養殖生産量が下がっているという視点からしか、養殖を見ていなかったため、実際に養殖事業に携わっている方からの視点は、私の養殖への考えを改めさせてくれましたし、私が養殖業者や養殖業へできることを考えさせられるきっかけになりました。改めて実際にお会いし、お話を伺うことの重要性を認識させられた一日でした。

 今回は、留学中にプログラムにも同行させてもらい、貴重な体験が出来ましたが、10月も終わりの時期に差し掛かっており、私のタイでの留学生活はあと2ヶ月を切ってしまいました。しかし、タイでしか感じられないことや、体験できないことは、まだまだたくさんあると思います。やり切って最終日を迎えるために、日々の学生生活をおもいきり楽しみ、また、この留学生活でできたご縁を大切にして過ごしていきたいです。

SEAFDECでの訪問の様子、手前右端が筆者

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