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2026.01.02 13:33

新春のご挨拶

東京海洋大学学長   井関  俊夫(特会)

 楽水会の皆様、新年明けましておめでとうございます
 本学学生をいつも温かくご支援くださり誠にありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 国立大学法人を取り巻く最近の状況について簡単に紹介させていただきます。昨年の11月4 日に文部科学省から「国立大学法人等改革基本方針」が出されました。この方針は、各大学が第5 期の中期目標・中期計画の策定する際の基本となるものですが、その中で、国立大学法人全体のミッションとして、
 ① 不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引
 ② 変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成
 ③ 地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興
の3 項目があげられました。さらに、各大学の機能強化を進めるにあたって、
 ● ステークホルダーとの対話等を通じた自らの役割・ミッションの客観的な検証
 ● 機能強化の方向性に沿った取組の検証が可能な適切な指標(KPI)の設定
 ● 他の国公私立大学等との連携等を通じてミッションの実現を目指す視点からの検討
に留意することが明記されています(東京にキャンパスをもつ本学の場合は、文章中の「地域」を「海洋」と読み替えて解釈したいと思います)。
 この基本方針は「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」による改革の方針(令和7 年8 月29日発表)に従っていて、その検討会資料には「これからの20年がこれまでの20年と同じような環境には全くないということを念頭に、社会の大きな転換点にあるとの認識をもつことが必要」と書かれています。現在の延長線上にある大学改革だけでは十分ではないということです。多くの国立大学法人と同様に、財政的に困難な状況が続く本学においても、「やらされ感」を払拭しつつ、発想の転換により、自ら斬新かつ積極的な改革を推進していく必要があります。

 昨年11月、国立大学協会の第2 回総会が旭川市で開催されました。その時に、旭山動物園のカリスマ的存在として有名な坂東(ばんどう) 元(げん)統括園長の講演を聞く機会を得ました。経営の悪化で、一時は閉園寸前まで追い込まれた動物園が、動物の生態や能力を見せる「行動展示」を積極的に導入したことで、国内だけではなく海外からも多数の観光客が訪れるようになったそうです。「あざらし館」では、観客は水面よりやや低い位置から水槽を眺められるようになっていて、その水槽の一部である「マリンウェイ(円柱水槽)」では、好奇心に満ちたアザラシたちがこちらを眺めながら上へ下へと泳ぐ様子を見ることができます。この行動展示では、好奇心の強いアザラシが自発的に観客の間近までやって来るので、観客も嬉しくなって思わず手を振ってしまいます。この行動展示特有の魅力が来園者の増加につながり、動物園の経営が改善され、また新たな行動展示が生み出されるという、発想の転換によるビジネスの好循環が実現されていました。
 困難な時代への対応を迫られる国立大学においても、アイデア次第で経営改善につながる好循環を生み出すことは可能であると考えます。東京海洋大学は「わが国唯一の海洋系大学」として、改革のための努力を続ける所存です。楽水会の皆様には今後も変わらぬご助言、ご支援をいただけますと幸いです。

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