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2016.07.04 12:20

白鷹館に漁業条約の事務局があるのを知っていますか 

田中 健吾(33養殖)

品川キャンパスの白鷹館に漁業条約の事務局があるのを皆様ご存じでしょうか。

 北太平洋漁業条約(NPFC)は、交渉開始から10年近い年月を経て、2015年7月に発効しました。NPFCとは、北太平洋の公海を対象海域とし、サンマ、サバ、ツボダイ、キンメダイ、アカイカ等の漁業規制等  を決定する漁業条約です。そもそもの発端は、2006年の国連総会において、底魚漁業の活動が海山の海洋生態系に悪影響を及ぼさないよう管理しなければ漁業を停止することなどの決議が採択されたことを受け、我が国の主導で条約作成交渉が開始されましたが、近年は、NPFCがサンマ等の浮魚の国際漁業規制について注目が集まってきました。交渉には、我が国の他、米国、韓国、ロシア、カナダ、中国及び台湾が参加し、現在、米国を除くこれら国・地域が条約のメンバーになっております。米国も、早期に条約のメンバーになるべく、米国議会での審議と承認作業が進められているところと聞いています。

 発効後の第1回NPFC委員会会合は、2015年9月に白鷹館内会議室で開催され、上記全てのメンバー国・地域が出席し、米国はオブザーバー参加しました。まず議長の選出が行われ、日本の香川謙二氏(水産庁次長)が選ばれました。次に事務局長の選出が行われ、一般公募後の各国等代表による審査の結果、ムーン博士(韓国)が任命されました。

 漁業条約の事務局は執行機関です。上述の委員会での決定に従って、各国等と連絡を取りつつ、予算の執行を行います。本会合や科学関連会合の準備は重要な業務ですし、各国等から提出された正規漁船登録や魚種別漁獲量・努力量情報等をデータベースで管理することもします。ホームページによる情報公開も大切な業務です。

 前述の通り、NPFC事務局の長である事務局長は委員会が任命しますが、事務局員は事務局長が採用します。委員会で決定した予算書に従い、ムーン事務局長は、遵守担当官、科学担当官及び総務職員を雇用しました。現在、これら四人の正規職員が、品川キャンパス白鷹館二階の事務局室でNPFCに関する業務を行っています。

 なお、国際機関の事務局に対しては、所在する国の政府、NPFCの場合は日本政府が、いわゆる外交特権を付与することになります。これについては、2015年11月30日に武藤外務副大臣とムーン事務局長との間で関係協定に署名がなされ、今後、日本の国会の承認を得て効力を生じることになっております。

 NPFC事務局の日々の運営等に関しては、竹内学長をはじめとする東京海洋大学の皆様から様々なご協力をいただいております。特に、昨年九月の委員会会合においては、私の後輩達である東京海洋大学の学生さん達にインターン研修として、会議場の設営、受付から、資料のコピー及び配布まで、お手伝いをいただきました。また、大学事務関係者の方々には、常日頃から実務的なご支援をいただいております。将来的には、調査・研究面での交流も期待されます。この場を借りまして、改めまして御礼申し上げますとともに、今後も、国内唯一の漁業条約事務局へのご支援ご協力をお願いしたいと思います。(水産庁 資源管理部漁業調整課 首席漁業調査官)

(参考)

NPFCのホームページ

http://nwpbfo.nomaki.jp/

水産庁・外務省のホームページもご参照ください。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/150903.html

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002712.html

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