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2021.01.01 10:00

2021新春のご挨拶

学長 竹内 俊郎(21製大)

 会員の皆様,新年明けましておめでとうございます
 本年は,一般社団法人楽水会が創立百周年を迎える節目の年でもあります。改めてお祝い申し上げます。また,コロナ禍の影響で順延された東京オリンピック・パラリンピックも開催される予定です。with コロナ禍ではありますが,今年が皆様にとってすばらしい年になりますようお祈り申し上げます。
 2021年新春に際し,ご挨拶申し上げます。今年は丑年で,実は私の干支でもあります。人生100年時代ということからすると,残りはあと30年弱となり,どのように人生を閉めていくかをそろそろ真剣に考えないといけない年になりました。そのようななか,私の学長としての任期もこの 3 月で満了となります。6 年間よくもったものだとつくづく思う次第です。会員の皆様方には,これまで大学運営について,種々ご意見,ご鞭撻を賜り厚くお礼申し上げます。
 また,昨年来のコロナ禍のなか,残念ながら多くの方がお亡くなりになられました。会員の皆様のご家族,ご親戚のなかに,罹患された方,また不幸にもお亡くなりになられた方々がいらっしゃいましたら,心からお見舞い申し上げますとともに謹んで哀悼の意を表します。

 さて,昨年発刊された『樂水』871号において,「母校の現状と将来 ~これまでの取り組みと今後の展開~」として,2020年の課題と具体的な取り組みについて16項目に分けて記載していただきましたが,コロナ禍のなか実現できなかったものがいくつかあり,忸怩たる思いがあります。
 そのようななか,新型コロナウイルス感染症拡大防止に対する取り組み内容については,松山優治元学長(16漁大)のご発案により,対談という形式で,『樂水』872号に掲載していただきました。会員の皆様方にはこの対談を通して,本学の取り組みについてご理解いただけたのではないかと思っています。依然としてコロナ禍が収まる様子はないようですが,昨年10月からは対面による授業を再開するとともに,乗船実習等も実施しているところです。
 また,本年の 2 月下旬までには大学のガバナンスコード(企業でいうところのコーポレートガバナンス)が公表され,ステークホルダーに対してわかりやすい形で示される予定です。
 その他の取り組みについては,新学長として,海洋工学部長である井関俊夫教授がすでに内定していることから,新学長の下,第4期中期計画(2022年度~)を含めた大学運営の指針が示されることとなりますので,どうぞご期待いただければと思います。

 それでは,本年のトピックスについてお話しします。
 まず,一昨年に採択された「海洋産業 AI 人材育成卓越大学院プログラム:図1」が,いよいよ本格的に始動しました。昨年 4 月および10月入学の大学院生の中からプログラムの受講生を決定し,講義が始まりました。なお,必要な機器の購入も予定通り進んでいます。

 また,昨年9月および11月にはオンラインによるプログラムオフィサーや委員による現地訪問があり,無事対応が終わりました。そのほか,海洋AIコンソーシアムの立ち上げや同アドバイザリーボードの人選も済んでいます。本プログラムは,デジタル技術を駆使した教育・研究の機能強化を行うとともに,データ駆動型研究等の新たな研究手法を支えるAI技術,ビックデータ解析に長けた人材の育成等を行うことにより,地域・産業界等への普及を目指すものであり,今後の本学のバックボーンの一つになる重要な事業と位置付け,今後一層力を入れていくこととしています。
 なお,2022年4月から実施予定の大学院博士後期課程の社会人入学は,企業や国立研究機関に勤務され,今後AI技術等が重要と考えておられる方には,とても魅力的なものだと思います。博士後期課程では,高度信頼性が要求されるAIの性能評価手法を学ぶ「高度信頼性評価コース」と,AIが社会に与える影響を学ぶ「社会実装影響評価コース」を設定しています。もしご興味をおもちの方がいらっしゃいましたら,本学の HP(https://www.g2.kaiyodai.ac.jp/marine-ai/ )をご覧いただければと思います。

 二つ目は,「水圏生殖工学研究所:Institute for Reproductive Biotechnology for Aquatic Species(IRBAS):図 2」の設置です。初代所長として,海洋生物資源学部門の吉崎悟朗教授(36養殖)を任し,昨年10月1日に開所式を行いました。本部は品川キャンパス2号館(海洋生物資源学部門棟)に置きますが,実際の研究は,淡水魚は大泉ステーション,海水魚は館山ステーションを分室として,それぞれ進めることとしています。本研究所の人員として,昨年度の学長裁量定員枠で配置した1名の教員(助教)に加え,文部科学省から純増配置があっことから,昨年12月には,民間の研究所の方を准教授として配置したところです。現在,来年度に向け数名のポストの純増を概算要求しており1月にはその可否が決まる予定です。ちなみに,本研究所もその研究内容から,大学院生が中心となることや産業界への貢献を重視していることから,社会人入学の学生を歓迎しています。企業と大学との連携を図りながら,新規事業の立ち上げにチャレンジしてみてはいかがでしょうか? こちらもHP(https://www.kaiyodai.ac.jp/Japanese/IRBAS/index.html )をご覧いただければと思います。なお,これら二つの取り組みは,大学の強み・特色を生かした大学の知の拠点化の一環として,「ビジョン 2027 v. 2」のアクションプランに基づき進めているものです。 

 三つ目は,キャンパスの有効活用です。本学が実施しようとしているキャンパス整備計画との整合性を図り,教育研究水準の一層の向上を目指すため,昨年11月まで「品川キャンパス土地の有効活用に関するサウンディング型市場調査」を実施しました。この事業は今後,50~70年後までを想定していることから,じっくりと本学のキャンパスデザインの一つとして位置付け進めていくこととしています。

 その他,本年4月より「水産専攻科」の名称を「海洋科学専攻科」に変更します。練習船関連では,水産専攻科の遠洋航海の折に毎年実施していた「海鷹丸」による南極観測は,コロナ禍の影響で2020年度は断念せざるを得ませんでした。「汐路丸」については,本年10月末までには竣工する予定です。さらに,今年で30年が経過し老朽化している「ひよどり」の代船については,来年度の概算要求事項として道筋をつけることができました。

 このように,本学の将来を見据えたうえで次のステップアップに向け様々な方策を確実に実施しています。なお,学生の就職について,コロナ禍の影響により従来通り内定が得られるのか,また,本年4月からの就職が予定通り行われるのかなど心配しておりますが,今年度は3月に楽水会主催による合同企業就職相談会を開催していただくことになっており,大変心強く思っています。どうぞよろしくお願いします。

 最後になりますが,いつもお願いしている大学基金についてお話しします。一昨年実施した「東京海洋大学感謝の集い」はコロナ禍の影響で,昨年は実施できませんでした。一方,コロナ禍の影響で修学が困難な学生のための「修学支援事業基金」をお願いしたところ,お陰様でこれまでに600万円を超えるご寄附をいただきました。新型コロナ感染症の影響により学生が修学を断念することがないよう,国からの支援はもちろんですが,大学独自の支援策について検討し,次の三つの支援とすることにしました。
 1 )就学支援貸与金支援事業(1人6万円)
 2 )10月期新規渡日私費留学生の 2 週間のホテル待機にかかわる支援事業(1人約6万円)
 3 )新型コロナウイルス感染症対策助成支援事業(1人 5~10万円)
 今後もご寄付いただいた浄財を有効に使っていく所存です。
 現在,「一般基金(目的指定なし)」をはじめ,「プロジェクト基金(目的指定あり)」として,六つのプロジェクト(①大学全体,②修学支援,③グローバル教育支援,④学部・研究科等,⑤課外活動等,⑥その他)のメニューもございます。パンフレットなどもご用意しておりますので,ぜひ【基金渉外課】電話03-5463-4279または E-mail(kikin@o.kaiyodai.ac.jp )宛,あるいは直接 HP(https://www.kaiyodai.ac.jp/kikin/index.html  )にアクセスいただけると幸いです。
 本学は,水産・海事・海洋の領域を包括した国内唯一の海洋系大学としてその使命を果たすべく,今後ともがんばっていく所存です。「海洋の未来を拓くために」を合言葉に進めてまいりますので,本年も皆様方のより一層のご助言,ご鞭撻のほど,よろしくお願いいたします。
 学長としての最後の新年のご挨拶となりました。誠にありがとうございました。

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