書籍紹介『イカ産業の展開と構造』
韮澤 新太郎(31漁工)
著者の三木克弘君は学生時代にともに学び、謳歌した仲間でありましたが、誠に残念ながら、2017年の9月に彼は旅立って逝かれました。国立研究開発法人水産研究・教育機構に勤務していた彼がご逝去されて、もう4年の歳月が流れたことになりますが、彼がこの本のタイトルである「イカ産業の構造と展開」という視点でまとめようとしていた遺稿を、共編著者である奥様の奈都子さんが論文集としてまとめられ、この度こうして発刊されることになりました。
本書に書き留められた内容は、まさに現在までのイカ産業の成り立ちや実態、課題を浮き彫りにしており、イカ産業界のバイブルになり得る素晴らしい内容に仕上がっていると思います。
共に30数年前に卒業し、彼は研究職の道に、私はトロール船員の道にそれぞれ進み、その後も余暇に山行、海行することがしばらく続きました。夢はそれぞれで、その頃はまさか仕事で関わることになるとは全く想像もしていませんでした。残念ながら、私が現職に関わるのが遅かった(2年前)ため、彼と仕事で時間を共有することは叶いませんでしたが、今こうしてイカの業界で何とかやって行けているのは、きっと彼が手を差し伸べてくれているからだと思っています。
イカに関連する古い資料が事務所には沢山あるのですが、捨てたら三木君が怒るかも知れないなという思いから、整理せずにそのままにしておくことにしました。
三木君の足跡を記憶と記録に!
「イカ産業」そのものを愛して、生涯をその研究にささげた彼の足跡を一人でも多くの方の記憶に残していただき、またこの本を彼が目指したことの記録として、皆様のお手元に残すことが出来ればと考えるに至り、ご紹介をさせて頂く次第です。
(全国いか加工業協同組合 専務理事)