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2016.09.29 17:37

マリンサイエンスミユージアムへのご案内

 井上 聡子(海2環境46修)

 マリンサイエンスミュージアムは東京海洋大学の海洋科学部付属の水産資料館をリニューアルして、2016年1月28日にオープンしました。約1年半の休館中、皆様には大変ご不便をおかけして申し訳ありませんでした。私は母校大学院の修士・博士課程修了後、縁があり、2014年4月から水産資料館の学芸員として勤務していました。改修段階の準備作業から開館までの業務に携わりましたので、マリンサイエンスミユージアムの現状を説明させていただきます。

 主な改修点は建物の耐震工事と増設で、展示面積は約1.5倍に拡大。また、隣接する図書館との間にウッドデッキを設け、外観も見違えるほど立派になりました。先ず、1階展示室では従来の配置を変えて、展示場所・空間を拡大しています。玄関の正面を入ると、右壁面には資料館の沿革誌が掲げられ、左側には東京水産大学二代目の練習船である雲鷹丸の模型(実物の1/8縮尺)が鎮座しています。 また、新設の大型画面と映像機器を装備し、普段は地球規模での海流の様子などを投影しています。この映像機器にはパソコンの接続も可能なので、プレゼンや講演会などにも利用できます。

2階展示室は、改修工事で壁の区切りを取り払い、展示室全体を広い空間として有効活用できるように工夫しています。この広い空間を4つのテーマ(1)海を知る,(2)海の構成員,(3)漁業・養殖 および(4)食品生産 に区分して、海のことや海と人との関わりについて理解を深める仕掛けにしています。 

マリンサイエンスミュージアムへのご案内(画像1)

展示室の様子

導入部の「海を知る」コーナーでは、本学の歴代の練習船模型と、南極やガラパゴス諸島での調査海域について紹介し、その際に採集されたペンギンやアザラシ、イグアナや魚の剥製などを順序よく展示。次の「海の構成員」では、海洋生物を7つのグループ(ウミガメ類、魚類、甲殻類、海鳥、鯨類海産哺乳類、無脊椎動物、藻類・プランクトン)に細分し、それぞれの多様性について標本と剥製、模型を通してじっくりと眺め、興味を持っていただけるようにしています。
第三番目の「漁業・養殖」のコーナーでは、実際に現場で使用していた漁網、漁具模型、器具をそれぞれ展示し、民俗学的にも貴重な資料から最新の漁具まで、幅広く紹介しています。最後の「食品生産」では、水産加工品として欠かせない練り製品や乾物など、博物館というよりは私たちの日常生活の中にある身近な物品を展示することによって、日本の文化とは切り離せない食の歴史を伝えています。

本ミユージアムは上記のような常設展示のみでなく特別展示も行い、また、他資料館との連携事業およびイベントをも企画します。現在は「食用海藻展」を開催中(11月18日まで)、健康食品であるワカメや昆布類などを展示しています。また、海の記念行事日には、玄関前のウッドデッキで催し物を行い大勢の人々で賑いました。気にかかる入館者数については、オープンから半年が経ち、すでに1万人を超えました。無料で入館でき、かつ交通アクセスの良い点も一因と思います。その内訳は、個人や団体で、保育園・幼稚園の子供たち、中高校生、シニアグループの大人など、幅広い年齢層です。学芸員である私は、来館者の希望により、解説することもありました。また、来館する方々には折角の機会なので、隣接の「鯨ギャラリー館」へも足を運んでいただくよう勧めています。

これまでの長い歴史の中ではもちろんのこと、今回の改修においても、様々な方のご尽力により成し遂げられたミュージアムです。古く貴重な資料を大切にするとともに、新しい展示やイベントをも取り入れながら、より多くの方々に海に興味を持っていただける場の提供として、さらに発展していってほしいと思います。
(東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム、前学芸員)

マリンサイエンスミュージアムのご案内(画像2)

マリンサイエンスミュージアムの外観

 

 

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