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2017.07.04 10:31

海洋棟前の“雑草魂”でチャレンジ ~ 楽水会理事就任のご挨拶

洲脇 みどり(31海工・20修)

■自己紹介

 2017年6月に理事を拝命した洲脇みどり(1979年入学/1985年修了、神奈川県出身、旧姓:橋口)と申します。

 海洋環境工学に夢を託した私の学び舎は、海洋棟1階の環境水工学講座と波動水槽や東京湾模型のある実験棟でした。研究テーマ「数値シミュレーションによる潮流解析」を抱えて通い詰めたマシンセンター、部活動に汗を流した硬式テニス部のコート、読書の指定席にしていた雲鷹丸のデッキ。いずれも懐かしい大切な場所ですが、俯瞰してみると学生生活のベースは正門と対極の南端エリアに集約されます。伝統的な水産学部の王道から離れた私の航路、在りようを象徴しているようで今更ながら可笑しくなります。

 大学院修了後はNECにてミッションクリティカル領域のシステムエンジニアやプロジェクト・マネージャーの道を24年程歩みました。その傍ら業務外の自主企画として「子育てフォーラム」を創設して全社に展開。仕事と育児両立に関する情報や思いの共有を図り、最終的には人事部と連携してワークライフバランス制度獲得に繋げました。これらの過程で得た全国の多様な方々(若手~経営層)との組織の枠組みを超えた交流は生涯の宝物となっています。

 この取り組みをご縁に、現在は文科省所管の独立行政法人 国立女性教育会館(http://www.nwec.jp/) にて客員研究員として活動しています。企業・自治体・大学職員向けにダイバーシティ推進支援を、大学生向けにキャリア養成支援を企画・提供中です。NEC幹部OB・OGの合宿研修も楽しく開催しています。

 こうして、楽水誌を飾る世界とは懸け離れたまま歩んで参りましたので、理事としては心許ない限りです。それでも、未だに私の中に宿る、海洋棟前の広場で力強く生きていた雑草魂で楽水会に少しでも貢献できたら、と思うに至りました。何もかもが新鮮で学ぶことばかりです。ご指導下さいますよう宜しくお願い致します。

■ご参考情報

 ここから、社会人としての取り組みの中から皆様の興味を引きそうなテーマをいくつかご紹介します。ご参考になれば幸いです。

◇光海底ケーブル国際通信システム構築について

 NECのプロジェクト・マネージャーとして関わった中で最も思い入れが深いのは、国際通信システム構築事業における「ネットワーク運用監視システム」の研究開発です。五大陸間に数万Kmの光海底ケーブルを敷設し、世界中の陸揚げ局にて数多の伝送装置に接続します。今や世界のデータ量の99%を支える通信システムには高信頼性が必須要件です。手掛けた運用監視システムはネットワークを統括管理し、25年間無停止運用を実現する心臓部にあたります。世界最先端技術をいくつも生み出しては実用化する過程は過酷を極めましたが、夢とロマン溢れる仕事でした。

 因みにネットワークを流れるデータ量を地球規模で見渡すと、日本はアジアと北米を結ぶルーター(データ転送機)に甘んじていました。「日本からいかに付加価値を発信できるか」が今後の日本の発展に関わる、と強い危機感を抱いたものでした。

 国際通信システムにご興味をお持ちの方は、NEC公式サイトの動画をご覧頂けたらと思います。(「長さは地球5周分!?国際通信の99%を支える光海底ケーブルシステム」 http://jpn.nec.com/ad/onlinetv/society/submarinecable.html

◇ダイバーシティ(多様性)推進について

 現在、国立女性教育会館における私の第一の取り組はダイバーシティ(多様性)推進です。企業や殊に地方の大学では生き残りをかけ、新たな価値創造・持続可能性確保にむけてダイバーシティを経営戦略の根幹に位置づける流れにあります。背景に世界中で「ダイバーシティ推進企業の経営指標は高い」と示す実証データの積み上げがあります。私は主に企業や大学、自治体の人事・人材開発・ダイバーシティ推進、並びに管理職・経営層の方々に情報や異業種交流の場を提供しています。

 今やダイバーシティ推進室の有無は就活生の企業選定キーになっていますが、学生を欺くブラック企業の問題も多発しています。学生さんには自分を活かせる真のダイバーシティ推進企業の見分け方など折を見てご紹介できたら、と思っています。

ダイバーシティ関連情報をご提供可能です。必要な方はvoyage@e02.itscom.net までお知らせ下さい。

■ご縁を感じて…

 実は20年程前に理事を打診頂いた経緯があります。当時は365日24時間仕事漬けの環境にあり、まだ子供も幼かったことからご遠慮させて頂きました。今回、長らく忘れたままの宿題を改めて授けて頂いた感があり、ご縁を強く感じています。社会貢献、母校貢献できるのは大変に喜ばしく恵まれたことと感謝の気持ちでいっぱいです。大学構内南のはずれ:海洋棟の雑草魂で、私なりに力を尽くして参りたいと存じます。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

※海工関係者に一言ご報告:数年前に指導教官:加納敬先生からお招き頂いてご自宅に伺いました。先生はお元気でお孫さんに囲まれてお幸せそうでした。                       ((独)国立女性教育会館 客員研究員)

 

 

 

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