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2016.11.01 13:25

海洋大学の関係者に包まれる

濱田 武士(特別会員)

  東京海洋大学を退職して早半年が過ぎました。現在の職場(北海学園大学経済学部)では、受け持ち講義を一日に1部と2部に分けて行っています。受講生は500人以上です。受講生の名前を覚えられる程度の少人数制の授業が多かった東京海洋大学(海洋政策文化学科)とは全く異なる職場環境となりました。
さて、現職に就いてから、この間、海洋大学在職中にお世話になった先生、卒業生と再会することが多々ありました。

 まずは、現職に着任して1ヶ月もたたぬうちに8年前に海洋大学を卒業し、NHKでディレクター(札幌放送局)を勤めている鈴木亘さんが来られました。ロシア水域のサケマス流網禁止をめぐる番組作成のために取材をしているということでした。鈴木亘さんは海洋環境学科に在籍していたので、直接面識はなかったのですが、私の研究室に所属していた2009年卒業の山下徹也さんと2010年卒業の白石龍郎さんと友達だったということもあり、「楽水会」会員として協力しないわけにもいかないということで対応させてもらいました。その流れのなかで鈴木さんの企画提案の報道番組『北海道クローズアップ(水産都市は再生できるか~北洋サケマス流し網漁禁止の波紋~ 6.17放送NHK総合 )』に出演するに至りました。   

 また9月には東日本大震災そして東京電力福島第一原発事故の影響によって漁業の全面自粛が続いている福島県において被災漁業者を応援する番組『復興サポート(放射能汚染からの漁業再生~福島・浜通り Part3~ 9.18放送NHK総合)から出演依頼が来て、収録現場に訪れたところ、同じ出演者として石丸隆先生が来られていました。4年前にも外部機関の講演会でご一緒させてもらったこともあったのですが、すでに定年退職されていたので久しぶりの再会でした。ただ、石丸先生は、現在も海洋大学に特任教授として在籍され、福島の海の生物と放射能物質の動態を研究しつづけている現役の研究者でした。番組ではためになる最新の研究成果を話し、福島の漁業者の方々は魅了されていました。

 さらに、つい先日、職場からの帰宅中の自宅近所で、本年三月まで海洋大学で卒業論文の指導をした福田洋介くんとばったりと出会いました。宮城県石巻市出身で潜水師の息子の彼は卒業研究で潜水漁業について調べてまとめました。親からは潜水師にはなれないと烙印を押されていたらしく、それでも潜水業をあきらめられず、NHKにカメラマンとして就職し、現在潜水カメラマンを目指しています。カメラマンとはいえ、彼も取材をする立場なのでいつか一緒に仕事をする時がくるかもしれません。

 以上はたまたま最近の話題としてNHKを介した話ばかりになってしまいしたが、行政や関連団体と仕事をすると、東京水産大学または東京海洋大学OBとすぐにつながりますし、大変丁寧に対応してもらっています。今も海洋大学の関係者に包まれています。在職中から感じていましたが、本当にありがたい環境です。

 10月20日に『魚と日本人 食と職の経済学』(岩波新書)を上梓しました。海洋大学退職までに間に合わせようとしたのですが、半年遅れてしまいました。魚食を通して、経済学のなかに人間を復興させようという思いで書いたものです。楽水会会員の皆様には、私の卒業論文として一読いただければ幸いでございます。
(北海学園大学経済学部教授・前東京海洋大学海洋科学部准教授)

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『魚と日本人 食と職の経済学』(濱田武士 著)
 <岩波新書> 定価(本体820円+税)

 

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