私の水族館訪問記録
笠原 百代(51海洋40修)
メルマガ前号の加茂水族館に引き続きになってしまいますが、水族館について少しお話をと思います。
以前、水族館巡りを趣味としていたことがあり、全国制覇とまではいきませんがいくつか回っていたことがありました。
私の楽しみ方は、巨大水槽を眺めながら、魚種名を水槽の端にある表示と答え合わせをすることです。現在、海洋土木㈱という魚礁ブロックのメーカーに勤務しており、自社で所有している水中ロボット(ROV)で水中調査業務をしています。その際、報告書等の作成で、どんな魚がどれだけ集まっていたかということを解析します。そのため、魚種名が分からないと仕事になりません。大学では魚類学を専攻しておらず、入社当初はお恥ずかしいことに研究の対象種であったマアジしか自信をもって答えることができませんでした。そこで、魚の種類を知るべく、水族館へ行くようになったのが始まりです。
今でも、ぱっとすぐに名前が出てこないことはありますが、水族館にいる主に食卓へ上がるような魚は、だいたい分かるようになりました。(たまに、スーパーの魚売り場で「メバル」といって売っている魚に、本当は「ウスメバル」なのになあ・・・と思えるくらいになりました。また、たまに水槽の表示が無いにも関わらず、展示している魚の名前が分かった時は、つい一人で興奮してしまいます。)
ここで、これまでに訪ねた水族館の中で印象に残っている水族館を1つ紹介したいと思います。
北海道の「おたる水族館」です。
小樽駅からバスに乗って25分程。水族館に隣接して遊園地が併設されています。最後に行ったのは5年以上前になり、記憶も少し曖昧なところがありますが、少しこぢんまりとした印象で、地元ならではの温かみを感じる水族館でした。ソイ類等の北の魚の展示が多かったかと思います。
屋内の水槽を抜けると、屋外に出て階段を下りると海獣公園があり、奥の方まで進むと「トドプール」があります。私のお気に入りは、この「トドプール」です。
柵からのぞきこむと、大きなトドが3頭いて私たちを見上げるように泳いでいます。
なんと、ここでは、このトドたちに餌をあげられるようになっています。売店でバケツに入ったホッケの切り身を買います。それをトングでトドの口に落とします。本当は投げ入れるという表現になるかもしれませんが。
トドたちは待っていましたとばかりに、ホッケの切り身をめがけて突進します。3頭のトドたちが争奪して切り身を取り合う様子は、巨大な海獣なだけに、かなりの迫力で恐怖を覚えますが、動物の力強さも同時に感じました、
なかでもいちばん体の大きいトドが、餌をゲットします。動きが素早く、力も強いのです。正に、弱肉強食という言葉が思い浮かびます。
このような体験は、おたる水族館で初めての体験だったので、とても印象深く、この時に感じた恐怖がクセになり、その後、10年後くらいに訪れたときにも、同じトドたちにお目にかかりました。その時には、2頭になっていた気がします。
北海道にある水族館だからなのか、このおたる水族館は、海獣が充実しています。
海獣公園内のアザラシプールは保護施設ともなっており、海に隣接し開放感があります。また、奥の方にはセイウチもいて、牙の収まりに、このまま伸び続けて生活に支障はないのかなと心配するほどの巨体を構えています。魚の水槽のみならず、この海獣公園だけで十分に楽しめる施設だと私は感じています。
本来、魚の話をと思っていたのですが、トドプールの感想となってしまいました。最後に、たまに耳にする「とどのつまり」の「とど」は海獣の「トド」ではなく、大きくなってしまったボラのことで、あまり良い表現ではないようですが、行き着くところ、物事の終りという意味とのことです。最後に魚の話に戻しまして、おあとがよろしいようで、失礼いたします。(海洋土木株式会社 環境部)