年頭所感
一般社団法人 楽水会会長 田畑日出男(13漁大13専3修)
楽水会会員の皆様、新年あけましておめでとうございます。
皆様にはご家族様お揃いで清々しいお正月を迎えられたことと心よりお慶び申し上げます。
皆様には平素より楽水会の事業活動につきまして、温かいご理解とご支援・ご協力を賜わり厚く御礼申し上げます。
昨年は例年になく多くの自然災害に見舞われ、6月の大阪北部地震をはじめとして、7月の西日本から中部地方・北海道を襲った台風7号、また7月から9月にかけて、台風12号、20号、21号、24号が続けて襲来し、さらには9月6日の北海道胆振東部地震等、日本全国が大きな被害を受けました。関係地域で被災され、今なおご不自由な生活を強いられておられる同窓の方々に対し、改めまして心からのお見舞いを申し上げます。
また近年、南海トラフ地震の発生も予想されており、いつ災害が起きてもおかしくない時代となっております。その対策が急務であると思っています。
顧りみますれば、楽水会は1891年に水産伝習所卒業生の有志により結成され、1921年より社団法人楽水会として発展してまいりました。さらに、平成24(2012)年4月からは「一般社団法人楽水会」として本年4月で満7年目を迎え、2021年には100周年の記念の年となります。これを契機に楽水会の事業活動がさらに充実したものになるよう努力してまいりたいと思っております。
一方、年4回発行している機関誌「樂水」は本年1月号をもって865号の発行に至っており、特に本年度からは対談形式の記事や「水産・海洋系高校のお仕事シリーズ」を新たに開始いたします。これからの日本を担う若者たちが学ぶ水産・海洋系高校の学び・教育の実際をご理解いただく新たな試みでもあります。
今後とも樂水誌の編集委員会の皆様方のご協力を得て、楽水会の歴史と伝統に恥じない立派な樂水誌を刊行して参りたいと考えています。
次に、東京海洋大学と楽水会の関係について申し述べさせていただきます。
例年申し上げておりますが、大学と同窓会はいわば「車の両輪」であり、同窓会の発展は大学のご理解とご支援がなくしては考えられず、また、大学の発展は同窓会からの物心両面に亘る支援と協力が不可欠であると考えております。
特に、東京海洋大学は2004年「国立大学法人」に移行してからすでに十数年を超える歳月を経過しており、今後とも社会の要請に応え、さらなる教育・研究の進展が求められているところであり、同窓会も大学と共にその「一翼」を担わなければならない使命があると考えております。
このことは、楽水会の定款第3条にも「この会(楽水会)は、水産業および海洋に関する学術的進歩を図るとともに、東京海洋大学と学生の支援、加えて、会員の資質向上及び親睦をはかることを目的とする」ことが明記されており、その趣旨にも合致するものであります。
楽水会としても上記の目的を達成するために、次なる事業を鋭意推進してまいりたいと考えております。
第1点目は、楽水会の重要な事業の一つである「大学との懇談会」の開催と内容の充実であります。
この懇談会は毎年秋、大学の学長はじめ教職員幹部の皆さんと楽水会理事会の間で開催しているものであり、相互に忌憚のない意見交換を行うなかで、「重要な課題」について、大学と楽水会が一体となって取り組むことにその趣旨があります。
特に、一昨年4月に開設された新学部「海洋資源環境学部」について、品川キャンパスの学生として「海洋生命科学部」と同様の支援を行うために、大学と楽水会が一体となった取組みを行う必要があることから、大学側に諸般のご協力をお願いしております。
第2点は、「楽水会ランチ・セミナー」のさらなる充実であります。
これは大学の「昼休み」時間を活用して原則年6回、各界で活躍している「楽水OB」による講話を主体として開催しているセミナーであり、発足以来、昨年末までの学生等の参加者は延べ4,000人を超える人数に達しております。なお本セミナーは学生の履修単位にも組み込まれています。
また、楽水会では長年、竹内正一先生が主宰してこられました「水産について考える会」についても、しっかりと、継続・継承しているところであります。
第3点目はボート教室の運営です。平成12年に開始され17年以上にわたり田中芳克氏(15漁大)により運営されてきた樂水ボート教室は免許取得者が1,000名を超えていますが、一昨年平成29年8月に田中先生のご逝去に伴い中断されておりましたが、ご遺族や学生、教職員等の皆様からの熱い要望を踏まえ、楽水会がボート教室を平成30年3月より再開継承し、現在合格率100%と高い成果を挙げております。会員、ご家族、ご友人等皆様のさらなるご利用をお願いする次第です。
第4点目は、大学との共催で実施しております「合同企業就職相談会」であります。本年も3月頃の開催の予定でありますが、参加企業の申し込みはすでに60社以上にも及んでおり、参加の学生・企業から好評も得ており、今や学生の「就職活動」に対する重要な支援の役割を果たしております。
第5点目は、楽水会の財政問題について触れさせていただきます。
かねてより、楽水会の最大の課題は、「財政問題」であるといわれてきましたが、これまでも会員の増強による会費収入の増大を最重点課題として取り組んでまいりましたが、会員の高齢化や新学部生を準会員へ取り込めていないこと等により会費の増収が望めない状況であり、楽水会への賛助会員のご支援と広告収入や寄付金等でなんとか成り立っております。そして、この財政問題に対処する施策の大きな柱として、大学のご協力を得て、平成27年4月より「新入学生」を入学時に楽水会の「準会員」として迎える新制度を導入・活用することといたしました。
しかしながら、新入生の準会員入会人数は、逐年低下の趨勢にあり、まだまだせっかくの「新制度」の定着は道半ばそのものであり、大学からのご協力をお願いする次第です。
加えて、楽水会が提供した百周年記念基金につきましては、「学術研究奨励基金」による教員・学生への研究支援およびグローバル人材育成の趣旨に則り、学生の活動の一つである「海外探検隊」の派遣に対しても貢献している次第であります。
楽水会といたしましても、本年も昨年以上に楽水会活動のさらなる活性化を目指し、最善の努力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、会員の皆様におかれましてはなお一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
年頭にあたり、東京海洋大学の明るく輝かしい未来と、あわせて会員の皆様方のご繁栄・ご健勝をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。 (いであ株式会社 代表取締役会長)