「海洋大に保育園を!」~チョット突飛な意見をひとつ~
斉田 育秀(21製大)
私は昨年末で古希と相成った。大した考えも持たずこの歳になってしまったので、それこそチコちゃん(NHKの5歳のキャラクター)に、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られそうだ。
5年ほど前に長年勤めた食品メーカーを退職後、フランスの紅茶屋の顧問をしたり、半世紀近くになるライフワークの、「映画史と食文化の研究」やこれに関連する「本の出版」、さらに「シネマエッセイの連載」などに勤しむ今日この頃である。たまたま縁あって母校(水産講習所・東京水産大学・東京海洋大学)の同窓生の勉強会「二火会」の世話役や、同窓会誌「樂水」の編集委員などもさせて戴いている関係で、海洋大のキャンパスを訪れる機会が多い。
さて、我々の学生時代の「幽霊屋敷」があり「水大砂漠」といわれた学内は、今やトレンディーな品川駅近くの一等地にある、いわゆる“キャンパス”に変貌した。そこで素人のアイデアだが、「大学の土地の有効活用」の一環として、キャンパス内に「保育園(幼稚園)」を作ってみては?と考えた。勿論法的なものは一切考慮していない話だ(念のため)。
実は昨年TVで「白金台の一等地に保育園を作る件」で、港区と住民が揉めている話が報道されていた。それを観ていて思いついたのが“キャンパス内の保育園”というテーマである。あまりに突飛で“一笑に付されそう”だが、一考の価値はあるのでは?と投稿した次第である。
因みに私の勤めた会社では数年前に仙川にあった老朽化した工場を潰し、跡地に6階建ての事務棟を建てた。関連会社や研究所もあり約1500名がここで働いている。食品会社なので女性の力が極めて重要であり事実女性従業員は多い。そこでこの事務棟を建てる際に、「保育園」や一般の方々向けに当社のキャラクター・グッズを扱う「売店」を併設した。予想通り結果は大好評である。
思い起こせば20年以上前の話だが、スコットランドに一週間ほど逗留したことがある。場所柄ウイスキー工場も見学したが、本職の商品開発の調査でショートブレッド(イギリスのクッキー)の工場に行った時のこと。敷地内にお洒落な建物があるので「あれは何だ?」と質問すると、「保育園だ!」と言うではないか。その先進性に驚き、帰国後「こんな素晴らしい話がありました」と当時のオーナーに報告。オーナーからは「将来的にはうちも検討してみたいですね」と言われた。
時は過ぎ、私も退職しオーナーも故人となり代替わりしたが、事務棟が建ってみると「何と!」しっかりと保育園が併設されていたのである。
聞くところによれば大学にも女性が多く働いているし、近くにタワーマンションが多くあるとのこと。実需は分からないが「保育園」の需要が少しはあるのではないだろうか?大学職員用に検討し、ステップを踏んで拡大して行けばリスクも少ないであろう。勿論大学が経営するのではなく、行政の力を借りながら専門業者に委託ということになるだろう(食堂と同じ)。親御さん達と行政にも喜ばれ、大学のPRになることは請け合いである。
多くの標本や船・海に関するグッズに囲まれたキャンパス内は、子供達にとって「ワンダーランド」そのものである。将来的にはこの幼子の中から本学を目指し、「海洋・水産界」に貢献してくれる人材が輩出されるかもしれない。「夢を見てんじゃねーよ!」と叱責されそうだが、老人?の“たわごと”を一度検討してみてはいかがかと、ひと言申し上げる次第である。