2020「年頭所感」
楽水会会長 田畑 日出男(13漁大13専3修)
楽水会会員の皆様、新年あけましておめでとうございます。
皆様にはご家族お揃いで清々しい令和2年のお正月を迎えられたことと心よりお慶び申し上げます。
皆様には平素より楽水会の事業活動について、温かいご理解とご支援を賜わり心より厚く御礼申し上げます。
昨年は多くの水災害に見舞われ、台風15号、19号、21号と続けての台風襲来による記録的な集中豪雨で、全国各地に大きな被害を齎しました。関係地域で被災され、今なおご不自由な生活を強いられておられる同窓の方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
昨年10月には東日本大震災から8年が経過した石巻から気仙沼にかけて、復興状況の視察を行い、菅原市長(28漁生)には、格別のご助言・ご協力をいただきました。気仙沼市東日本震災遺構・伝承館や、気仙沼市魚市場での齋藤徹夫組合長(27海工)の説明を受け、本格的な復興へは道半ばの感を受けました。また、BCPの作成とともに訓練の大切さを改めて痛感致しました。
顧りみますれば、楽水会は明治24(1891)年に水産伝習所卒業生の有志により結成され、大正10(1921)年に「社団法人楽水会」として発展してまいりました。
さらに、平成24(2012)年4月からは「一般社団法人楽水会」として引き継がれ、来年は100周年を迎え、樂水誌は869号の発行となっております。昨年の総会では、100周年記念事業委員会の設置をご承認いただき、次の事業に取り組んでおります。
①記念誌の発行、②記念募金、③記念式典、④その他の新事業であります。
記念誌につきましては、記念誌委員会を中心として、編集委員会の皆様方のご協力を得て、楽水会の歴史と伝統を後世に引き継いでまいりたいと考えています。なお、皆様から記念誌に掲載するトピックスや写真等、お寄せ頂ければ幸いです。
募金については、今後の学生支援等のため、目標額を5,000万円とさせて頂きたいと考えています。(詳しくは869号に掲載の「寄附のお願い」参照)。
本年も学生等支援のための事業として次の7課題について継続し、鋭意推進してまいります。
①大学のグローバル人材育成施策への支援
大学の研究者(学生を含む)等に対する学術研究奨励基金(東京水産大学100周年記念基金)については、学術交流協定に基づく学部学生等の海外派遣、並びに海外探検隊の旅費支援に活用され、令和元(2019)年夏の13期生までに延べ274名の学生を支援しております。
②「楽水会ランチ・セミナー」(ランチ・セミナー委員会担当)
学生への啓発、あるいは進路を決める一助になればとの目的で、各界で活躍している同窓生に依頼し、昼休みの時間に開催しています。平成29(2017)年からは塩谷特任教授(20漁大)の「キャリア形成論」の単位取得の一部になっており、学生の進路選択の参考にしていただいております。
③「水産について考える会」(水産について考える委員会担当)
平成16(2004)年から竹内正一名誉教授(7漁大)が主催されてきた「漁業について考える会」、平成19(2007)年からは現在の「水産について考える会」に名称変更して、平成25(2013)年11月の第101回より楽水会が引き継ぎ開催しています。会員のみならず学内外のさまざまな分野のスペシャリストにご講演いただいており、学生にも積極的に参加いただきます。
④「小型船舶免許教室」(楽水ボート免許教室運営委員会担当)
同窓の専門講師により開催しており、学生のスケジュールに合わせて、学内で講習・実技を受けられ、講習料も一般的な外部の教習所より格安で受講できるため、受講生からは好評いただいています。
⑤「合同企業就職相談会」などの就職支援(企画運営委員会担当)
毎年、大学との共催で「合同就職相談会」を行っています。昨年度は11月28日、29日に開催し、東京海洋大学の学生を是非採用したいという企業にご参加いただきました。卒業生が説明・相談に応じる企業も多く親身になって話をしていただいています。相談会後には懇親会や、プロのヘアメイクアーティストを招いて、就活にふさわしい身だしなみ等をアドバイスいただくセミナーも開催しています。
⑥「楽水誌・メールマガジン」の発行(編集委員会・企画運営委員会担当)
水産、海洋およびそれらに関連する学術的な内容の記事をはじめ、在学生である準会員も購読していることから、『私の職場』に代表される進路決定の参考になる記事やクラブ活動の戦績を掲載するなど、学生にとっても有意義で大学の歴史や同窓生のつながりを感じられるような誌面づくりを心がけています。
⑦「卒業祝賀会」の開催
母校を巣立つ卒業生ならびに修了生の前途を祝し、併せて教職員及び同窓生との親睦を深め、変わらぬ母校愛と同窓の絆を育むことを目的として、平成13年度卒業生から毎年開催してきました。同時に楽水賞を出し、昨年は6名を表彰させて頂きました。
さて、かねてより楽水会の最大の課題は、「財政問題」であります。これまでも会員の増強による「会費収入の増大」を最重点課題として取り組んでまいりましたが、会員からの会費納入率は48%にとどまっております。企業の賛助会員としてのご支援と、楽水誌への広告収入や寄付金等でなんとか成り立っておりますが、今後は会員の会費納入率の向上と、入学時の準会員の増強に取り組んでまいります。
次に、東京海洋大学と楽水会の関係について申し述べさせていただきたいと存じます。
例年申し上げておりますが、大学と同窓会はいわば「車の両輪」であり、同窓会の発展は大学の協力なくしては考えられず、また、大学の発展は同窓会からの物心両面にわたる支援と協力が不可欠であると考えております。
特に、東京海洋大学は平成16年「国立大学法人」に移行してからすでに15年を超える歳月が経過しており、今後とも社会の要請に応え、さらなる学術・研究の進展が求められているところであり、同窓会も大学と歩調を合わせてその「一翼」を担わなければならない使命があるものと考えております。
今日ではあらゆる産業分野において生産性向上が求められており、IoTによりデータを収集し、AIで解析・活用するというICTイノベーションが求められている時期に、本大学が厳しい競争の中で海洋産業AIプロフェッションナル育成卓越大学院プログラムに採択されるなど、企業の支援とともに人材の確保をしてゆく良い機会であり、このプログラムの発展に期待を寄せています。
楽水会といたしましては、本年も昨年以上に活動のさらなる活性化を目指し、最善の努力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、会員の皆様におかれましてはなお一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
年頭にあたり、楽水会と大学が一体となって、「東京海洋大学の明るく輝かしい未来を拓く!」ことを祈念するとともに、会員の皆様方のご繁栄・ご多幸をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
(いであ株式会社 会長)