どんぶり金魚
幡谷 雅之(15増大)
東京海洋大前学長の岡本信明さんのもともとの専門は魚の病気、つまり魚類病理生理学だが、金魚博士というもうひとつの顔を持ち、「どんぶり金魚の楽しみ方」という、とても面白い本を書いた。岡本さんは東京水産大学の同窓で、彼が学生時代卒論を書くために、当時私の勤務する静岡県富士養鱒場で実験をしていたことがあり、公私ともいろいろお付き合いをいただいた。
さて、どんぶり金魚とはどんぶりと水道水だけで金魚を飼育する方法で、食卓やオフィスのデスクなどでも、誰でも簡単に始められる。エアレーション(ぶくぶく)やろ過装置、水草なども必要ない。
どんぶりに向いた金魚の条件は、形が丸く、大きさは小さく、性格がいい子、つまり人を怖がらない、ひとには早くなついてくれる金魚がいい。おすすめの品種は琉金、出目金、らんちゅう、オランダ獅子頭など。
次に、金魚の姿に合わせて、扱いやすいどんぶりを探す。適当なサイズで、軽くて運びやすく、安心できる素材で、形がシンプルなもの。そしてなんといっても、金魚との相性が第一である。用意する水は、水道水が一番金魚に向いており、もちろん塩素(カルキ)を抜いて使う。
東京海洋大学の学長室で買われているのは琉金のシロちゃん。人が近づくとすぐ寄ってきて、水面から顔を出してあいさつをする。呼吸が心配になるほどだ。
金魚が甘えてくれたら、なでてやると「もっともっと」と催促してくれたら、金魚ファンにはどんなにうれしいことでしょう。しかもその金魚が飼い主の移動と一緒にテーブルからテーブルへついてくるとなれば、飼い主としてはもう、この子を離せなくなりますね。(「どんぶり金魚の楽しみ方」まえがきより) |
岡本さんのデレっとした笑顔が目に浮かぶ。
金魚といえば、NHKテレビのクイズ番組(クイズバトル47、平成27年3月)をみていたら、こんな四択問題が出ていた。
【問い】金魚の町大和郡山にあるのは?
【答え】A 金魚と泳げるプール B 金魚専用の墓地 C 水槽になった電話ボックス
D 一人一匹の金魚を飼う条例
(正解はC)
ちなみに、この金魚の水槽電話ボックスは商店街の所有物で、現在、著作権の関係で市内から撤去されている。