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2023.09.01 14:05

楽水剣友会記念誌発刊について

林 英一(10製大)

 昨年、楽水会がまとめた『楽水百年の歩み』に触発され、私達の楽水剣友会も同じく長い歴史を持っているではないか、その連綿とした活動の証は戦前の物はほとんどないが、「今」を残そうではないかという意見や要望が多く寄せられたので、昨年に有志により事務局を立ち上げ会員の皆様の投稿に基づく記録を残すため、一年がかりで楽水剣友会記念誌の発刊を企画し発刊するに至った。

【事務局のメンバー】
代表:林 英一(10製大)、副代表:及川政彦(17増大)、幹事長:田上貴士(26食工)
編集長:竹野 登(16増大)、会計幹事:為石日出生(20漁大)、同補佐:宮地典子(41海洋)、編集委員:石原 肇(38海工)、田北博司(38海工)

 早速、皆で剣道部出身者の確認を行い名簿を整理して、記念誌作成のための寄稿と事業費用の寄付をお願いしたところ、投稿は聞き書きも含め水産講習所51回(昭和21年:1946年)から東京水産大学55回(平成15年:2003年)の方々、親交のあった他校や外国の剣友より60余編が寄せられ、寄付金も56名の方々から637,000円頂き、今年(2023年)7月14日に200頁の記念誌を上梓することができた。惜しむらくは、もう少し早くにこのような事業を興すべきであったと反省している。
 記念誌の内容は楽水会、大学図書館へ寄贈した『楽水剣友会七十周年記念誌』をご覧願う。
 内容は、本年1月11日ご逝去された小倉通男先生(51漁)からの聞き書きから始まり、他校出身者を含む方々からの特別寄稿、投稿に加え読者が興味をそそることを想定したエピソードを組み込んだコーナーなどからなる。
 実際の作業は、水産講習所時代の資料が皆無に近く困難を極めたが、皮肉なことに記念誌発刊後に偶然にも「蟹工船興亡記」の著者宇佐美昇三氏より、大垣繁一先輩(48漁)の学生時代を含む手記を入手した。この手記は、おいおい公表したいと思う。

 さて、本学における剣道部の成り立ちやその後の経緯は、記念誌に編纂事務局の及川政彦(17増大)がまとめた「百有余年の歴史に支えられた楽水剣友会」に詳しい。
 『楽水百年の歩み』に記載があった年表に大正9年(1920年)4月に柔剣道場竣工の記載があるので、それ以前のことを置いても剣友会の源流は103年の歴史の上に成り立っている。更に講習所入学年次に記載ある明治42年(1909年)入学、卒回14製/山添兵造氏が剣道部員であったことを勘案すると、114年の歴史を持っていると考える。更に想像を加え水産伝習所を勘案して、水産講習所設立に近い時代から剣道は始まっていたのではないかと前出の及川政彦は推察している。

戦後に関しては小倉先生からの聞き書きで

 第二次世界大戦敗戦後昭和27年(1952年)までGHQ命令により剣道禁止となっていたが、翌昭和28年(1953年)に解禁となり、久里浜において昭和30年(1955年)入学の8回生により剣道同好会が発足した。これより先に小倉通男先生のご提案でOBの会に楽水の名前をかぶせた楽水剣友会ができていたということなので、ひそかに稽古を続けた先輩方がいたということだろうか。
 その後、昭和33年(1958年)に東京商船大学との定期戦において敗北したのを契機に諸先輩が来校して稽古だけでなく金銭的にも多大な支援があった。このように迅速に支援が行われたのは先行する組織があってのことで、同時期にその組織について話し合いが、森和夫氏などの大先輩、伊藤金得剣道師範、杵淵政光体育学教授、学生達も加わって行われ、OB会組織「楽水剣友会」の名称が正式に決定している。
 当時のOBの方々の支援は、今では考えられないものであった。水産講習所時代の剣道部の錚々たる先輩の方々から稽古は無論のこと、合宿、他校への遠征費用の負担など物心ともに多大なるご支援とご指導を頂いたことで大学の剣道部と楽水剣友会は大いに発展した。

 この度の記念誌発刊行事の総仕上げとして、11月18日(土)の午後から次の二つの行事を予定している。一つは楽水会館鈴木善幸記念ホールで開催する楽水剣友会七十年記念誌発刊を祝う懇親会と、それの前に行う古くより交流のある北海道大学およびかつての東京商船大学等のOBを招聘して、武道場で行う親善稽古会である。

トルコ大地震復興支援義援金

 私たちの稽古や合宿に参加したトルコからの剣道修行生2人が、この度の大地震で被害を受けた地区で支援組織を立ち上げたり、日本政府からの救援・医療支援チームが現地入りした時に通訳として活躍をした。このような背景から自らが中越地震や中越沖地震で被害に遭い、福島第一原発事故で緊急処理対応にあたった渡邉希一(26海工)から我々に縁ある海外の剣友が苦労しているので、支援しようと組織での支援の呼びかけがあった。
 早速JICAでのトルコの現地経験がある竹野登(16増大)と及川政彦(17増大)の二人が賛同、記念誌編集事務局から林が発起人代表として楽水剣友会諸氏へ呼びかけ、40万円近い義援金を頂き、それを二分して上記修行生が各々支援する団体に義援金の支援を行った。

 末尾に他界された多くの先輩方、そしてまた今回の編纂事業にご協力いただいた会員の皆様に再び心からお礼を申し上げ結びとする。

【参考までに】林英一が道場でお目にかかりご指導や激励を頂いた水産講習所の先輩方

石山礼三先輩(36養)、鈴木善幸先輩(37養)、辛川藤四郎先輩(38製)、森 和夫先輩(39製)、照山守三先輩(40製)、神崎嘉端夫先輩(41養)、関野正雄先輩(41漁)、宇野 寛先輩(47養)、加納秀作先輩(47養)、大垣繁一先輩(48漁)、景浦 甫先輩(48漁)、蔵本亮一先輩(48漁)、江口滋男先輩(49漁)、長崎亀人先輩(50漁)、小倉通男先輩(51漁)

編集事務局一同
前列左から:石原(38海工)、林(10製大)、為石(20漁大)
後列左から:宮地(41海洋)、及川(17増大)田上(26食工)、竹野(16増大)、田北(38海工)

 

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